八幡製鉄所(一)(二)

 本史料集は、新日本製鉄株式会社が所蔵する、官営製鉄所時代の御雇外国人関係史料である自明治三十年至三十四年『外国人関係書類』、および明治三十五年起『傭外国人関係書類』の2冊を復刻したものである。収録史料には製鉄所の建設や操業にかかわった外国人の雇用や処遇をはじめ、彼らの日常生活も含めた多岐にわたる貴重な文書・記録類が綴られている。この史料は、八幡製鉄所の歴史を語るだけでなく、福岡県の近代産業史の重要な史料であり、さらに日本の近代化の過程における外国技術の導入の実態を伝える得がたい史料でもある。史料には多くの欧文が含まれており、ドイツ人研究者との協力によって復刻し欧文史料編として収録した。独文(翻訳を付す)を含めた4点の解説を付している。
 (二)には『傭外国人契約書』と大正十一年起『傭外国人関係書類』の2冊を収録した。現在判明している限り、八幡製鉄所所蔵の御雇外国人関係としてまとまった史料はすべて収録したことになる。(二)の収録史料の内容は、そのほとんどが外国人との契約に関するものに限定されており、(一)の史料に多くみられた外国人の日本での生活を伝える記述はほとんどない。しかし、正本を含めて多数綴り込まれた契約書や関連史料には、雇用された外国人の母国での履歴や業績、契約にいたる経緯、あるいは帰国後の製鉄所との関係をうかがうことができるものもあり大変興味深い。
 (一)と同様に欧文史料編と、3点の解説を付し、さらに利用の便をはかるために編年欧文史料目録、および(一)(二)両巻の和文史料索引を掲載した。また別刷りで『大日本帝国製鉄所全図』を添付している。