士族授産

 士族授産事業とは、明治維新によって世襲的な家禄・常職を失ったかつての武士の失業・貧窮を救済するため、主に政府が彼らに資金を貸付け、授産事業を奨励するとともに、国・地方の殖産興業をはかった政策である。その事業は開墾・養蚕・製糸業をはじめ、絣織・傘・製紙・紅茶・コークス製造などにおよび、福岡県下では少なくとも19の事業結社がみられた。
 本書は福岡藩・秋月藩・久留米藩・柳川藩・三池藩・豊津藩・千束藩・中津藩の旧藩士族および廃禄者に対する授産事業関係史料をおさめる。
 第一編は「公文録」「公文別録」等に所載の福岡県士族授産事業関係史料、第二編は福岡「筑陽社」・久留米「赤松社」関係史料、第三編は福岡県地方新聞士族授産関係主要記事集成、第四編は「福岡県勧業年報」所載の士族授産関係記事抄録からなる。
 これらは国会図書館、福岡県立図書館、九州大学、鶴久文庫、福岡県地域史研究所などが所蔵する史料によっている。また、詳細な解説を付している。