林遠里・勧農社

 本史料集は、明治前期に先進的な福岡の農業技術普及のために全国的規模で活動した林遠里と、彼によって設立された勧農社に関する資料を編纂したものである。収録資料の主なものは、福岡市早良区重留の林道生家に所蔵されていたものである。
 第一編は林遠里関係としての彼の履歴書や著述、さらには各地でおこなった演説の筆記録などを収録した。第二編の勧農社関係では勧農社の社則、社員名簿、農場日誌、派遣実業教師の書簡などを収録した。
 この中で特に重要と思われるものは、実業教師が派遣地から遠里に宛てて出した書簡類である。本資料集編纂にあたっての林家の調査により、今回はじめて発見整理されたものである。実業教師みずからの具体的活動にとどまらず、明治中後期の派遣地の農事の実態をリアルに再現できるものも少なくない。