福岡勧業雑誌

 本史料集は、福岡農事協会が発行した『福岡勧業雑誌』の第1号から第17号までを写真版によって復刻したものである。
 福岡農事協会は、明治19年1月に横井時敬らの福岡農学校関係者を中心に50余名の会員によって設立された農事研究団体であった。同協会は一九年四月から『福岡農事協会雑誌』を刊行したが、会員構成の半分が農学校関係者ということから、かれらの交流的機関紙とし
ての性格が強かった。
 同協会がサロン的性格を取払い、県下老農多数の参加で600余名の会員数を誇る県下最大の農業団体に発展した明治24年に『福岡農事協会雑誌』は廃刊され、あらたに本史料集に収録した『福岡勧業雑誌』が創刊されたのである。この雑誌の創刊は県農学校から県勧業試験場につどった近代農学士らが、福岡県下の老農をその系譜に取込み、県勧業政策の主導権を握ったことを示す象徴的なできごとであった。その後の全国的な動きの先駆けとなったという意味で、この面でも福岡県の先進性が読み取れる。